聖夜のブラックホール

内制さんの日記

大学1年生のクリスマス、彼にとってその日は一生忘れることのできない日になりました。

それはクリスマスからさかのぼること2週間前、大学生の彼は、大学へ行く前にとあるコンビニで早朝バイトとして働いていました。

季節は12月。日も昇らぬ薄暗く閑散とした道を原付で走り職場に行きました。そういえばこの時はまだ自動車の免許取れていなかったので、原付でした。原付って夏こそは風切って気持ちいいですが、真冬は風が肌を切り裂くほどに冷たい。なんだかその日はいつにも増して風が冷たかったです。

彼がそのコンビニにバイトとして入ったのは夏休みが終わったころでした。だいぶ仕事にも慣れ、バリバリの企業戦士としていつもの勤務に従事していました。

時間はあっという間に過ぎ、上がりの時間。早くしなければ大学へ遅れてしまう。やはり学生が本業という身上、遅れるわけにはいきません。それで着替えを忙しなくしていたときです。彼を呼び止める声がありました。

「逃君、クリスマスケーキ1つしか予約取ってないのあなただけよ」

声の主は握力50キロ強、多分僕が握手したら骨の髄まで砕かれそうなマッチョチーフでした。

彼の職場には季節ごとに予約ノルマなるものが存在して、その予約を既定数以上獲得してこないと、そのマッチョチーフに怒られるというブラックな職場だったのです。ちなみにクリスマスケーキのノルマは13個でした。その日初めて知ったわ、アホ。

そこから彼は数奇な運命に翻弄さるのです。

「予約の締め切りがもうすぐ近いから、(というか明日まで)諦めないで頑張って取ってきなさい」

上記のような内容を、社会は甘くないぞ、なめんなみたいな事と共に言われ、大学へ行く前にものすごくやる気を殺がれることを言われた彼。彼には最初からやる気なんてびた一なかったようですけどね。さらに「友達とかに頼んでみたら」というその一言が、本気で仲のいい友人が少ない彼を苦しめたのは、きっとチーフは知らない。

しかし、そこまで言われて1個も予約を取ってこないのはいただけません。彼は1個は自分の晩御飯で食べるとして、もう一つは数少ない友人に、多分靴くらいだったらベロベロ舐めてやるぜ、そのくらいの覚悟で頼み込み、予約の取得に成功しました。

そして彼は既定数には達していませんが、何とか地獄のノルマを乗り切ることができました。

ここで彼は来年の抱負を決めるのです。ケーキの13個よりも、友達13人だなと。

そして時は流れ、クリスマス当日。

上司に脅され、半ば強制的にクリスマスケーキを買わされ、遠路はるばる、まあすぐ近所なんですけど、歩いて取りに行きました。

そこそこ大きいの、多分4号とか、5号とかそのくらいの大きさだったと思うんですけど、1ホールのケーキ。普通だったら家族で等分して食べるでしょうが、彼の家では、スーパーの懸賞だかなんだか知りませんが、ケーキが2個もございます。必然的に家族はそちらのケーキを食するので、彼が買ってきたケーキなんかには目もくれません。

ということで、彼一人で、1ホール完食を目指すフードファイター状態に陥りました。

朝飯抜いて昼から気合たっぷりにケーキに挑んだのですが、半分食べ終わった頃から気分が悪くなり断念。だか、諦めの悪い彼は、3時間後、小腹が空いてきただろう時間に再び挑戦。しかし、クリームというのは消化が悪いようで、全然食が進まない。

甘いものを食べすぎると気分が悪くなる、これははっきりって迷信だと思っていました。なんせケーキ1ホールだなんて子供の頃は夢見てたけど、実際に食べたのはこの時が初めて。百聞は一見にしかずとはよく言ったものだ。彼はその身をていして、しみじみと感じたそうです。

で、ナウシカもビックリの瘴気を放つおそらくケーキだったもの。まあうんこなんですけど。たぶん彼、生クリームがダメなんでしょうね。お腹ピーピーで幾度となくトイレへ駆け込んでいました。

気持ち悪いうえに、お腹もピーピーと、最悪なクリスマスでした。

来年は絶対に楽しいクリスマスにするぞ。

そう固く心に誓ったクリスマスでした。

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